ハム製造販売の資格について

食肉製品の世界はとっても複雑です。


豚肉をカットしパック詰め等をするためには「食肉処理業」

食肉製品を製造(加工)する営業には「食肉製品製造業」

を製造する所在地を管轄する保健所の認可が必要です。

※自治体により基準が違います。


その認可には「食品衛生管理者」の設置が義務付けられています。


この「食品衛生管理者」資格を取得するハードルが高く、皆さん挫折します。


方波見牧場では、父、方波見勝久が取得しています。



 

ハムづくりを志す

 


父は1967年、17歳で養豚を始め、1975年に養豚を本格的にスタートしました。


茨城では1980年頃から養豚生産者がハムの製造販売を始めることが多くなってきました。


父は自分で作ってみたいと、見様見真似で軒先にドラム缶で燻煙室をつくり、自家用にベーコンを作り始めました。それが1988年頃です。


方波見牧場がある、茨城県鉾田市(旧大洋村)は様々な農産物を作っている豊かな土地。

ハムの加工場とあわせて農産物の加工、季節季節の果物を使ったジャムや、味噌などを

一緒に製造販売できればいいなと考えました。


そこで、保健所に相談にいくと製造物ごとに施設を別々に作らなくては営業許可が出ないということを知りました。


その事実によって農産物の加工は諦め、一年中製造ができるハム、ソーセージの加工と販売をすることに決めました。


 

食品安全管理者が必要なことを知る

 

そうと決まれば本格的にハムづくりを学ばなくてはと、

知人に紹介され、仲間と一緒に筑波研究学園都市の農水省畜産試験場の研究者であった安藤四郎先生の元を訪ねました。


安藤四郎先生は日本のハムソーセージの技術指導普及に尽力された先生で、幅広くハムソーセージの製造方法を指導していました。


で製造方法も学び、いざ加工場建設の相談にまた保健所にいったところ、

「食品衛生管理者」の資格がないと営業許可が出ないことを知りました。


食品衛生管理者を取得するためには、3年間の加工施設での職務経験、

50日間の講習を受け、国家試験に合格しないと取得しないといけないことを知りました。

しかも当時講習は5年に1度ぐらいの頻度で、開催地は東京と大阪の交互で開催されていました。


加工場の設計も進み、加工場建設は待ったなし。さてどうしたものかと思ったところ、

友人の獣医師が食品衛生管理者として、父が資格を取得するまでこの事業に参加してくれることになったのです。


その後、ハム加工場と農作物直売所を1992年に無事にオープン。


豚を育てながら、ハムづくりに明け暮れて3年の職務経験を積みました。

そして、1996年に東京の講習に通い始めました。


資格取得のために毎週6日、計60日間東京に通う。


養豚の飼育管理をしながら朝5時半の高速バスで週6日、60日間通いました。

(日曜日は講習がないので実際は50日)


講習は細菌学や添加物の取り扱いや法令等の座学。味の素の工場など2,3か所の現場視察など、1日8時半~17時半までびっしり。

そして、最終日に筆記試験がありました。


最終日の試験は、高速バス渋滞で試験会場に到着するのが遅れ、

到着したときにはすでに帰り始めている人も。


残り時間僅かでしたが、なんとかすべてを解答し無事合格したのでした。


現在、食品衛生管理者試験は、群馬県高崎市の全国食肉学校で開催されています。

(ただし、コロナ禍で3年ぐらいは未開催のようでした)


現在の食品衛生管理の設置者は冒頭でお話したとおり、方波見勝久になっています。


真人も何れか取得しなくていけませんね。


ということで、ハムづくりに必要な資格取得の話でした。

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